沖縄の琉球ガラスが廃瓶から作られるようになったのは、戦後の物資不足がきっかけだったと言われている。米軍基地から出た廃瓶を溶かして再利用したのが始まりで、その手法が今も読谷村の工房に受け継がれている。廃瓶を使うことは、単なるリサイクルではなく、ガラスの色と気泡に偶然性を持ち込む技法でもある。
廃瓶ガラスの特性 ¶
廃瓶は、ビール瓶、ワイン瓶、薬瓶など、さまざまな種類が混ざる。それぞれのガラスは成分が微妙に異なり、溶かして混ぜると、均一な工業ガラスでは出せない複雑な色が生まれる。また、廃瓶には微細な気泡が含まれており、再溶解の過程でその気泡が残ることがある。「海色舎」の比嘉勇さんは、この気泡を欠陥ではなく、一点ものの証として扱う。
吹きガラスの工程 ¶
1200度を超える窯で溶かしたガラスを、鉄製の竿の先に巻き取る。竿を回しながら息を吹き込み、重力と遠心力を使って形を整えていく。水差しの場合、口の部分を作るのが最も難しく、比嘉さんは「口が決まれば、あとはついてくる」と言う。一点を成形するのにかかる時間は約15分。その間、工房は静かで、ガラスが形になる音はほとんどしない。
なぜ同じものができないのか ¶
廃瓶の配合、その日の気温と湿度、窯の温度のわずかな変動、職人の息の強さ。これらすべてが一点ごとに異なるため、同じ型を使っても同じものにはならない。Hushed Bay Tideが今シーズン仕入れた水差し5点は、同じ工房の同じ職人が同じ日に作ったものだが、気泡の入り方と色の濃淡はそれぞれ違う。来店の際には、光にかざして見比べていただきたい。
日常での使い方 ¶
琉球ガラスの水差しは、食洗機を避け、手洗いで使うことを勧める。急激な温度変化(熱湯を直接注ぐなど)は避けること。直射日光の当たる場所に置くと、テーブルに光の模様が落ちる。夏の朝、水を入れた水差しを窓際に置くだけで、部屋の印象が変わる。
今シーズンの水差しは5点のみ。来店予約の際に「琉球ガラスを見たい」とお伝えいただければ、あらかじめ光の入る場所に並べてお待ちする。